いつもシマノ公式サイクリングオンラインストアをご利用頂きありがとうございます。 今回はオンラインストア特別企画として、シマノレーシング選手のインタビューコラムを掲載します。
先日実施しました会員様向けのオンラインストアに関するアンケートの中で、 「シマノレーシング選手使用製品紹介と選手のレビューが聞きたい!」というお声を頂戴しました。
そこで、プロ選手がシマノ製品に対してどんな印象を持ち、 どのようなことを意識しながら日々レースに挑んでいるのかをお伝えするべく、 今回はトップ選手である入部選手と中井選手にお話をお伺いして参りました。
シマノレーシングをご存知の方も、初めて知った方も、ぜひ今後のサイクリングシューズ選びの参考にご覧ください。
シマノレーシングとは?
photo:Storu Kato
photo:Storu Kato
1973年発足の自転車ロードレースチーム。時代と共に活動を変化させながら、日本の自転車競技シーンをリードしてきた伝統のチーム。
お話を伺った選手
入部正太郎 選手
2019年国内選手権ロード優勝
UCIレース2018 Tour of Thailand -stage2 優勝
UCIレース2017 Tour de Kumano-stage1 優勝 他
脚質:パンチャー
中井唯晶 選手
2023 Jプロツアー個人ランキング総合1位
UCIレース Tour de Hokkaido-stage3 2位 他
脚質:スプリンター
二人が思うS-PHYREシリーズの特徴とは
オンラインストア担当
本日はよろしくお願いいたします。
オンラインストアをご覧頂いているお客様へ、プロ選手ならではの視点でS-PHYREシリーズの魅力をお伝えできればと思っております。
入部・中井
よろしくお願いします。
オンラインストア担当
早速ですが、お二人はハイエンドモデルであるS-PHYRE (SH-RC903)を様々なレースで使用されているかと思いますが、他のシューズとは違う特徴はどんなところにあると感じますでしょうか。
入部
『ストレスを感じない』という事です。
これはシンプルですが非常に重要で、一日に100km以上を走るサイクルロードレースでは些細なストレスがレースでのパフォーマンス低下となってきます。足回りの違和感・ストレスはできるだけ避けたいです。
もちろん、シューズではソールやアッパーの剛性、重量も重要な要素ではあります。 ですが、硬さを追求しすぎても疲れやすいですし、軽いだけで剛性やフィット感を二の次にするのも・・・。
総合的な性能が必要で、S-PHYREのシューズはその総合的な性能=バランスが非常に高いと思います。
また、クリートの位置調整が広いのもポイントです。このシューズは日本人(正確には世界中の人の足に合わせている)の足の特徴を良く捉えているので、自分の足にあった位置にクリートをセットできるのは有難いですね。
入部
あと、製品自体の耐久性も高いと思います。
今年のTOJ京都ステージで、運悪く激しい落車に巻き込まれましたが、シューズは無事で最後まで走り切ることができ、耐久性の高さを肌で感じることが出来ました。(落車しないのが一番いいですが・・・笑)
photo:Storu Kato
photo:Storu Kato
オンラインストア担当
激しいプロレースならではのお話ですね。 我々のようなホビーライダーではなかなかシューズの耐久性を感じる場面は少ないですが、安心して長く使えそうですね。
中井選手はいかがでしょうか。
中井
セカンドグレードのRC7シリーズも使った事があるのですが、 それと比較した時に、それぞれのフィット感の違いを感じました。
もちろん、セカンドグレードのRC7も高いフィット感ではありますが、感覚的にRC7はフワリと包むような感覚、RC9はしっかりホールドする、という感じでしょうか。
少し話は逸れますが、プロチーム選手でもRC7を好んで使う選手もいますし、ここは乗り方とか脚質によって選んでもいいのではないでしょうか。
※某選手曰く、RC7とRC9の違いはヒール部分のフィッティングで感じることもあったそうです。RC7はよりソフトな感覚で、RC9はエッジが効いた感覚でレースシーン向け。
オンラインストア担当
トップ選手だとハイエンドモデル一択というようなイメージもありますが、 あえてRC7を使う方もいるんですね。
中井
あとは、BOAダイアルの位置がいいです。調整しやすい。
レース中はフィッティング調整をしたい場面が割とあります。
細かい話かもしれませんが、ダイアルの位置が手を伸ばしにくい所だったりすると違和感=ストレスです。RC903だけではなく、RC902Tでもこの調整感は良かったです。
長距離になればなるほど、足のむくみがとれてシューズと足の隙間が出てくるので、 フィット感が緩くなってきます。その場面でスムーズに調整できるのは大きな利点です。
さらに言えば、登りのダンシングやスプリントの場面でも、足の隙間があると力が逃げるので、RC903の高いフィッティングは頼もしいです。
レースシーンでは、最後のスプリント前になると他の選手がBOAを調整しているのが見えたり、「カチカチ」という調整の音が聞こえることがあり、その様子から相手のコンディションやモチベーション(次の動き)を予測することもできます。それくらいBOAの調整は大切です。
photo:Storu Kato
photo:Storu Kato
入部
BOAで言うと(これもフィット感に関わる所かもしれませんけど)、 締め付ける時に取り付け台座が足に干渉するような痛みが出るシューズもあります。
その点、このRC903はその心配が無いです。重ねて言いますが、足回りのストレスは避けたいです。
オンラインストア担当
なるほど。我々一般ユーザー目線では、どうしても剛性感の高さや軽さなどのわかりやすいスペックを比較しがちですが、 それよりもいかに「ストレスなく履けるか」が重要なんですね。
S-PHYREシリーズはどんな人に向いていると思いますか。
オンラインストア担当
ここからは、RC903を筆頭にシマノシューズのハイエンドモデルであるS-PHYREのシューズは、どのようなポイントに注意して選べば良いのか、どのような人におすすめしたいか、お伺いできればと思います。
入部
S-PHYREと聞くと、プロ選手や実業団選手等の熱量が高いライダー向けの製品と思われるかもしれませんが、プロ向けに振り切っている訳ではないと思います。
プロが使う性能という事は、それだけ信頼性が高いという事でしょうし、むしろこれからサイクリングを本格的に楽しもうという方にもいいのではないでしょうか。
レースに勝つためだけでなく、綺麗な景色やロングライドを楽しんだり、洗練されたデザインのシューズでトップ選手と同じようにかっこよく走りたいという方にはおすすめです。
そもそも、目的に関わらず快適に走れることは大前提です。そうなるとフィット感やペダリング効率は非常に重要な要素になります。ハイエンドモデルはその点をより追求して設計されていますので、結果的に長く自転車を楽しむことが出来ると思います。
中井
日本人の足にフィットする可能性が高いので、迷っているならRC9は候補に入れてほしいですね。
高い性能値は速さだけでは無く、足のストレスを軽減してくれますし、長く、楽しく、乗れる環境を提供してくれるんじゃないでしょうか。
photo:Storu Kato
photo:Storu Kato
オンラインストア担当
自転車の楽しみ方はレースやポタリングなど人それぞれですが、快適性・ストレスの無さという点ではどんな人にもおすすめということですね。ありがとうございます。
最後に、これからサイクリングシューズの購入を検討している方へ、アドバイスやコメントがあればお願いします。
入部・中井
シンプルですが、自分の足に合ったシューズ、フィット感の高いシューズを選んでください。痛みの出るようなシューズを使う事はもちろんおススメしません。これはプロ選手だからという訳では無く、全てのサイクリストに言える事と思います。
少し硬い言い方をしますと、自転車と身体の設置点は手(ハンドル周り)・お尻(サドル周り)・足(シューズ・ペダル)の三種類です。その中でも、足は直に推進力に代える重要なポイントだと思います。つまり、妥協してはいけないところ。
自転車を本当に楽しみたい、追求したいなら、妥協の無い最高峰のシューズを使う価値は十分にあります。S-PHYRE RC903はその選択肢になると思います。
いかがでしたでしょうか。
今後もシマノ公式サイクリングオンラインストアでは、より自転車を楽しむための商品・コンテンツを提供して参ります。
たくさんのご意見・ご感想をお待ちしております。